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【コラム】友人のさくら


子供の頃おてんばで、外で遊ぶことを日課にしていたわたしの、彼女は大の友人だった。わたしが物心ついた頃から側にいてくれた、すごく頭の良い犬だった。

そんな彼女が我が家に来て、10年と半年経った夏。さくらがフィラリアという、体内で蚊の卵が孵化してしまうという病気にかかってしまった。
最初にその症状に気づいたのは母だった。食事を与えてもまったく口をつけず、水ばかりを飲む彼女の様子に病院に連れて行きフィラリアだと分かった。
薬を処方してもらい、週に一度の通院生活。薬はハムなどに巻いて、だましだまし与え続けた。

さくらはわたしの手からでないと食事をしようとしなかったので、さくらに食事を与えるのはわたしの係となった。肉や犬用缶詰、その他もろもろ。さくらがおいしく食べれるであろうものを、少しずつ手に乗せさくらの口まで持っていく。わたしの手からのみ食べるという事実が、わたしには嬉しく思えた。
さくらが苦しい思いをしているというのに、自分が頼られているということだけに酔い、そうなってしまった現状を考えないなんて。
わたしはなんて嫌な人間なんだろう・・・・。

そんな生活が約3ヶ月間続いたのだろうか。

ある土曜日の昼頃。
わたしは最初、さくらの傍で図書館で借りていた本を読んでいたが、ふと母に言いつかっていた用事を思い出した。洗濯物を干すことを頼まれていたのだ。
本を読むことにも疲れてきた頃合いだったので、椅子から立ち上がり二階のベランダに行こうとした瞬間。いつもは鳴くなんてしないさくらが、立ち去ろうとするわたしの方を見ながらスンスン鼻を鳴らした。
わたしは「なんだろう?」と不思議に思いながら足を止めると、さくらも鼻を鳴らすのを止める。気のせいか、と思いまた立ち去ろうと背中を向けると、さくらはまた鼻を鳴らすのだ。
そんな事を4回程くり返して、わたしは結局鳴き続けるさくらを尻目に部屋を去った。

ベランダで洗濯物を手にした時。病状でめったに鳴くということがなかったさくらが、大きな声で鳴いた。
甲高い、少し鼻にかかったような・・・今までに聞いたことがないような、切ない鳴き声。
わたしはすぐに持っていた洗濯物をかごに放ると、一階にいるさくらの元まで急いだ。胸が不安でいっぱいになった。一つの単語が頭の中をよぎる。走ろうと思っても・・・なぜか足は行くのを拒むかのように重い。

一階にたどり着いたわたしは、小屋の前に横たわるさくらを見た。
さくらはわたしがなんど名前を呼んでも、もうその呼びかけに応えることはなかった。

両親が仕事から帰ってきてから、わたしは父と二人で裏山にさくらを埋めにいった。時間が経ち、フサフサだった毛は固くなっていた。

さくらを運ぶために、父と一緒に彼女の冷たい体を持ち上げる。
わたし達を心配させまいとしたのか・・・・今まで吐いていたのであろう、ハムの残骸や黄色い胃液が、彼女の体に隠れるようにお腹全体に広がっていた。自分が一番辛いのに、それでもわたし達に心配をかけまいと振舞っていた彼女の気持ちを考えると、涙が止まらなかった。

裏山で一番大きな木の下に、大きな穴を掘り彼女の体を寝かせた。
どうして、わたしは彼女の訴えを無視してしまったんだろう!
どうして、あと数分でもいい・・・彼女の傍にいてあげられなかったんだろう!
どうして、彼女の死期を見届けることが出来なかったんだろう!
どうして・・・・・。
わたしは泣きながら父と一緒に少しづつ、少しづつ彼女に土をかぶせた。

さくらがわたしに教えてくれたこと。

お互いがお互いを思いやる。その気持ちの大切さ。
そして、それはとても尊いものだということ・・・。

さくらへ。
本当にありがとう・・・・。
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